「院長の独り言」年度別

「院長の独り言」を時系列でご紹介しています。鍼灸・東洋医学に対してもっと身近に感じていただこうと、一般の方にわかりやすく鍼灸・東洋医学にまつわるトピックを中心にお届けします。民間薬草や健康食材にまつわる話、鍼灸・東洋医学・健康に関する一般書などもあわせてご紹介いたします。

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2007年7月~12月の「院長の独り言」

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伝統鍼灸について思ったこと(2007年12月)

10月27日(土)・28(日)に日本伝統鍼灸学会学術大会が札幌で行われました。

北海道で伝統鍼灸学会が行われるのは初めてのことで、私もスタッフとして微力ながらお手伝いをさせていただきました。

通常地方でこのような学会が行われると300人ぐらい集まるのが相場なのだそうですが今回の北海道大会では700人を越える人数が集まりました。

東京の大会でも800人を越えたことは無いそうですので東京に並ぶほどの人数が集まったことになります。

これを機に北海道でますます伝統医学・鍼灸医学が発展すればと思いますし、伝統医学・鍼灸医学に対する期待の大きさを感じざるえません。

昨今、日本の伝統医学・伝統鍼灸を見直そうという動きがあります。

中国は中医学を世界に発信していますし、韓国も独自の韓医学を打ち出しています。

そんななか日本は各流派がバラバラにあるだけで日本独自の伝統医学・伝統鍼灸というものを打ち出せないでいる。

だから早く日本独自の伝統医学・伝統鍼灸を打ち建てようというものです。

私も日本独自の伝統医学・伝統鍼灸とは何かを考えることは大賛成です。

しかし、あまり早急に結論を急がないほうがいいと思っています。

日本の伝統医学・伝統鍼灸を選定するにはそのための基準となる物差しが必要となります。

その物差しを何処に置くかそれによって全然異なったものになる恐れがあるからです。

実際中国においても現代中医学に対して中医学内部から異論反論が僅かながらですが出はじめているそうです。

現代中医学は毛沢東の時代それまで様々あった流派を唯物史観に基づいてまとめ上げたものです。

当然その切り捨てられたものの中にも大切なものがあったのではないかと思います。

勿論、玉虫色の理論など出来る訳もありませんが切り落としてはいけないもの、伝統鍼灸の本質についてはじっくりと考える必要があると思います。

徳川家康が天下を取った陰には・・・意外や意外家康は漢方の専門家!(2007年10月)

徳川家康を知らない人はいないと思いますが、豊臣秀吉の後に天下を取り、江戸幕府300年(実際は264年)の礎を築いた人です。

家康は60歳を過ぎてから天下を取りました。

そしてその後75歳で亡くなるまで江戸幕府の基礎を固めるため元気に活躍していました。

そんな家康は健康に人一倍気を遣っていました。食事も戦場にいた頃の食生活を基本的には崩しませんでした。

死因といわれる鯛の天麩羅(てんぷら)は滅多にない贅沢だったようです。

面白いことに家康は薬にも詳しく自分で薬を処方して飲んでいたようです。

一説によるとその知識は専門家が舌を巻くほどのもので孫の家光の大病を治したともいわれています。

家康がつくった烏犀円(うさいえん)という漢方薬が現在まで伝わっています。

(彰考館 徳川博物館 〒310-0912 茨城県水戸市見川1-1215-1 Tel : 029-241-2721)

烏犀円は『和剤局方』(わざいきょくほう:中国・宋の時代の書物)という書物に書かれており、『和剤局方』には烏犀円の他現在でも使われている漢方薬が沢山載っています。

家康はこの書物を参考にして東洋医学を勉強し健康管理をしていたようです。

家康が天下を取ったその陰には東洋医学のちからがあったのかも知れませんね。

『ホジュン ~宮廷医官への道~』(2007年9月)

宮廷女官チャングムの誓い 』について以前ご紹介させていただきましたが、チャングムを演出をしたイ・ビョンフンさんがチャングムの前に製作したテレビドラマで『ホジュン ~宮廷医官への道~』というのがあります。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ホ・ジュンは実在の人で低い身分として生まれますが優れた医術で当時の医者としては最高の位まで登り詰め、その後『東医宝鑑』という素晴らしい本を著述します。

ドラマではチャングムと同じように漢方薬や鍼の場面が沢山出て来ますし、ストーリー展開も面白くチャングムと同じようにグイグイストーリーに引き込まれます。(ストーリーを面白くするために幾分フィクションが入っていますが・・・。)

チャングムを見た方はチャングムに出ていた役者さんがホ・ジュンにも結構出ているのでそれも楽しめます。

チャングムとホ・ジュンは時代としてはチャングムのほうが少し先ですが一部重なっています。

チャングムは李氏朝鮮王朝の10代燕山君から11代中宗の時代の話で中宗に仕えました。

ホ・ジュンが仕えたのは14代宣祖と15代光海君ですが生まれたのは中宗の時代です。 私は韓国の歴史をよく知りませんが歴史を知っていればもっと楽しめるかもしれませんね。

興味のある方はDVDが出ていますので見られては如何でしょうか。

お盆のお墓参り(2007年8月)

もう8月ですね。当院は8月の14日、15日をお盆休みとさせて頂きますが、実家に帰ってお墓参りでもしようかと思っています。

ちなみにお盆は仏教の盂蘭盆(うらぼん)が由来とされていますが日本独自の風習と合わさって出来たもののようです。

仏教の盂蘭盆は釈迦の弟子の目連尊者が亡くなった母親の姿を探すと、餓鬼道に堕ちているのを見つけて、水や食べ物を差し出しましたが、母親の口には入りませんでした。 釈尊に相談すると、すべての比丘に食べ物を施せば、母親にもその施しの一端が口に入るとのことで、その通りに実行して母親の口にも入ったというものです。

それと日本に昔からあった先祖供養の風習が合わさって今のお盆の風習になったようです。

また地方によっては施餓鬼(せがき)と呼ばれ、餓鬼道に陥った亡者を救ったりなどの風習も行われるようです。

いずれにしてもその中心にあるのは、日々の生活に感謝し、親切に施しをする心を大切に育てようというものかも知れません。

他人を思いやる心の無い世界は考えただけでもゾッとしますものね。

漢方薬では、「毒+毒=無毒?」なんてことも(2007年7月)

漢方と西洋の薬物学の考えかたの違いの一つに漢方ではそれぞれの生薬の関係性を調べそれが複合的にどのように働くかを重要視します。

西洋医学ではあくまで一つの薬物がどのように働くかを考えます。

例えば炎症を抑える薬と胃の薬を出したとすると、その二つの薬が合わさって複合的にどのように働くかということは基本的に西洋医学では考えません。いわば1+1=2の医学なのです。

一方漢方医学では生薬の組み合わせにより1+1=3や4になったり、逆に1+1=0やマイナスになったりします。

面白い例として「萬菫不殺(まんきんふさつ)」というのがあります。

萬(サソリ)と菫(トリカブト)を合わせると面白いことに毒性が減るのです。

全ての毒物が合わせると毒性が減るということではなくて、サソリとトリカブトの組み合わせは互いの生薬の働きを弱めるため毒性が弱まるのです。

生薬によってはお互いの働きを強める組み合わせもあり、場合によっては1+1=3や4になる場合もあるのです。

面白いですね。

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