「院長の独り言」ジャンル別
「院長の独り言」ジャンル別~薬草・健康食材編~
薬草・健康食材編 ―2008年-2010年―
因幡(いなば)の白兎と「蒲の穂(がまのほ)」(2010年7月)
みなさんは、因幡(いなば)の白兎の伝説を知っていますか?
隠岐の島から因幡の国へ行きたいと考えた白兎はワニザメをだまして向こう岸に渡ろうとします。
もう少しで向こう岸に着こうというとき、ついついだましていたことを言ってしまいます。
怒ったワニザメは、白兎の体中の毛をむしり取り、あっという間に丸裸にしてしまいました。
丸裸にされた白兎がその痛みで砂浜で泣いていると、八上姫という美しい姫をお嫁さんにしようと因幡の国に向かっている大国主命の兄神様が大勢通りかかり『海水で体を洗い、風に当たってよく乾かし、高い山の頂上で寝ていれば治る』と言いました。
白兎が言われたとおりにしてみると、海水が乾くにつれて体の皮が風に吹き裂かれてしまい、ますますひどくなってしまいました。
あまりの痛さに白兎が泣いていると、兄神達の全ての荷物を担がされて大きな袋を背負った大国主命が通りかかり、白兎の話を聞きました。
そして『河口に行って真水で体を洗い、蒲の穂(がまのほ)をつけなさい』と言いました。
白兎がその通りにすると、やがて毛が元通りになりました。
たいそう喜んだ白兎は『八上姫は兄神ではなく、あなたを選ぶでしょう。あのような意地悪な神様は、八上姫をお嫁にもらうことは出来ません』と言い残し、自らが伝令の神となって、兄神達の到着より前に、この事実を八神姫に伝えたのでした。
以上が因幡の白兎の伝説です。
この話の中に出てくる蒲の穂(がまのほ)は実は漢方薬としても使われており、止血作用や打撲外傷にも用いられます。
ちなみに漢方では蒲黄(ほおう)といいます。
神話、伝説ひとつとっても、東洋医学の知恵が生かされているのですね。
ちなみに、お話に出てくる大国主は少彦名と共に日本神話の中では医療の神とされています。
少しでもあやかりたいですね。
桜と桜肉(馬の肉)~桜肉は筋肉や骨を作る~(2008年4月)
季節も4月に入り札幌もすっかり春らしくなりました。
東京など関東ではもう桜も散ってしまったようですが、札幌は東京のだいたい1ヶ月遅れ4月下旬から5月上旬に桜の季節になります。
桜といえば話は変わりますが、馬の肉を「桜肉(さくら肉)」と呼びますが何でなんでしょうね。
調べてみるといろいろ説があるようで、馬刺しの肉がきれいなさくら色になるからという説がひとつ。そして桜の咲くころ、4月から5月にかけてが一番おいしいからという説があるようです。
ちなみに中国明の時代の『本草綱目』によると馬の肉には筋肉や骨を成長させ身体を壮健にするという働きが書かれています。
歌手「ケツメイシ」の名は漢方の生薬「決明子(けつめいし)」から(2008年3月)
友人がケツメイシの「さくら」を歌ってました。
いい曲ですよね~。
ケツメイシ・・・。
なんか聞いたことある名前だなと思って考えてみたら漢方の生薬と同じ名前でした。
調べてみたらグループの名前の由来は、中国で使用されている薬草「決明子(ケツメイシ)」で、薬草の効用になぞらえて「全てを出し尽くす」、「見えない神秘的な」という意味が込められており、メンバーの中の2人は薬剤師免許も取得しているんだそうです。
ちなみに決明子(ケツメイシ)はマメ科の一年草のエビスグサの種子で、中医学的には「清肝益腎・キョ風明目、潤腸通便の働き」があります。
実は、決明子は日本でも昔から健康茶「ハブ茶」として飲まれていました。
エビスグサの種子を乾燥させ、軽く炒ったものを、お茶にします。
効能としては、疲労回復、食欲増進、便秘、腹部膨満感、胃弱、胃腸の調子が悪い時、眼精疲労、目の充血、神経痛、リウマチ、高血圧の予防などです。
でも、漢方の薬草の名前をグループの名前にするなんて面白いですね。