かんたん中医学講座

このページは、東洋医学(中医学)理論を解説するページです。『東洋医学について』、『東洋医学の基礎知識』、『東洋医学簡史』をベースに、『院長の独り言』、『養生』などを掲載いたします。

かんたん中医学講座 第6回「四診について」

みなさん、お久しぶりです。福田です。

かんたん中医学講座も今回で第6回目となります。いよいよ10回の講義も後半に入りました。さあ、頑張ってまいりましょう。

今回は東洋医学における診察方法についてお話をいたします。

ではさっそく第6回目講義を始めます。

東洋医学における診察方法には望診、聞診、問診、切診の4つがあります。

これら4つを総合して東洋医学的な診立てをします、これを四診合参といいます。

望診

西洋医学における視診にあたるのが東洋医学ではこの望診です。

しかし何故、「視」でも「見」でも「観」でもなく「望」なのか。

望遠鏡という言葉にも使われる「望」という字は「離れたところから見る」という意味があります。

美術館などで絵画を観るとき、最初近くで観て、次に少し後ろに離れてみると印象が大分違うことがあります。

木を見て森を見ずという言葉がありますが、細部を見ることも大切ですが、全体を見ることも大切だということを望の字が教えてくれているように思います。

望診では、神、色、形、態の4つを見ます。

神を診るというのは東洋医学独特だと思いますが、神とは生命力のことで、生命力が十分に有るのか無いのかを見定めるということです。

修業時代、師匠はよく患者さんが玄関から入ってくるところから診ていなければいけないと言っていましたが、生命力は直接は目に見えません、直観的認識によって捉える世界です。

私たちの日常の生活でも例えば友人や家族が「今日は何となく元気が無いな」とか「今日はイライラしているな」とか直観的・感覚的に認識することがありますが、その延長線上にある世界といえます。

つまり東洋医学には弁証論治のような精緻な論理的分析的(左脳的)な認識と直観的感覚的(右脳的)な認識の両方が必要ということです。

色は目に見えるもので分かりやすいです。

  • 青色:寒証、痛証、オ血証、驚風など
  • 赤色:熱証など
  • 黄色:虚証、湿証など
  • 白色:虚証、寒証、血虚証など
  • 黒色:腎虚、寒証、痛証など

それぞれ色によって意味があります。

形は形体のことで、単に身体が痩せているのか肥っているのかだけでなく、例えば舌が厚みがあるのか薄いのか、肩がいかり肩かなで肩かなどの形体的な特徴に東洋医学的な意味があります。

態は姿態のことで、動作の違いにも意味があります。

例えば跛行しているとして何処の経絡の異常によってそれが起こっているかなどを見定めます。

望診で具体的に診る場所としては舌、顔、身体全体などを見ます。

望診の中では舌診が有名ですが一般の方向けの書籍などでもよく出てくるのでここでは顔の見方を少し述べます。

顔の正中線上で両眉毛の真ん中あたりが肺、両目の真ん中あたりが心、鼻の頭が脾、脾と心の真ん中が肝で、口の周りが腎となります。

癇の虫のお子さんは心や肝の場所に青スジが有ることが多く、喘息がある子供の場合は肺の処が赤い場合があります。

中高年の方で口の周りが青黒っぽい方は腎虚で、お酒が好きな方で鼻の頭が赤いのは脾胃に熱が籠っているなどです。

顔だけでも取れる情報はありますので家族や友人など診てみても面白いと思います。

聞診

聞診は声や匂いを診るものです。

匂いと病に関係性があることは広く知られていますが、声に力や張りがあるかどうかなども診ます。

問診

問診は、主訴、既往歴、飲食、大便、小便、睡眠、運動などで西洋医学と重なる内容もありますが、あくまで五臓六腑、気血水、経絡など東洋医学的な判断の材料を集めます。

切診

切診は患者さんの身体に直接触れて診ることで、脈診やツボなどを診ます。

東洋医学では、これら望聞問切の4つの方法で情報を集めます。

これで第6回目の講義、「四診(望診、聞診、問診、切診)について」を終わりにしたいと思います。ご精読ありがとうございました。

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