耳鼻科疾患の鍼灸治療症例集

鍼灸治療症例集の中から、「耳鳴り」など耳鼻科疾患でお困りの方に対して行った鍼灸治療についてご紹介いたします。耳鳴りといっても、東洋医学の考えでは、さまざまな要因が考えられます。しいていえば、身体のアンバランスが引き起こしたものと考えられます。

鍼灸は、耳の症状の改善にも効果的

目の症状同様、耳の症状でお困りの方も多いようですね。

当院に来られる患者さん中にも、耳の症状でお困りの方がいらっしゃいます。目の症状と同様、耳の症状にも鍼灸治療は効果的です。

耳鳴り

今回は、耳の症状にお困りの方の症例から、耳鳴りで悩んでいらっしゃる方の症例を取り上げたいと思います。それでは、簡単に鍼灸治療の経過と東洋医学的見解を述べたいと思います。

Q1 左耳の耳鳴りで困っています。(T.Tさん、40代、男性)

一昨年の秋頃から耳鳴りが起きました。高音でキーンという音がします。1ヶ月前カゼを引いてから不眠、頭痛、口渇、食欲不振、不安感などの症状も出ました。

A1 肝陽上亢という証です。週2回の鍼治療で少しずつ改善しています。

T.Tさんは、平成17年9月4日初診でお見えになりました。お話をお伺いしたところ、ストレスが原因と考えられます。右の膈兪と肝兪の間の穴(穴名なし)が大きく虚しており、その他いろいろな情報も合わせて判断すると肝陽上亢という証だと思われました。

T.Tさんのその後の経過

週2回のペースでT.Tさんには来院していただきました。最初8回ほどはあまり変化が無かったのですがその後次第に良くなり、不眠、頭痛、口渇、食欲不振、不安感などの症状は無くなりました。

現在は耳鳴りがまだ残っていますが、初診時の耳鳴りを数字の10であらわすと、現在は波はありますが耳鳴りが3~4残っている状態です。

T.Tさんは現在も週2回来院され治療継続中で、最終的に耳鳴りが全く無くなるところまで治療していきたいと思っています。

「耳鳴り」の東洋医学的見解

東洋医学的な耳鳴りの主要な分類を以下に示します。

  1. 風熱襲肺(ふうねつしゅうはい)によるもの
    肺が風熱の邪をうけてなるもの。
  2. 肝火(かんか)によるもの
    肝火が上って起こる。
  3. 肝陽上亢(かんようじょうこう)によるもの
    肝の陰が不足することにより、相対的に余剰した陽が上って起こる。
  4. 肝血虚(かんけっきょ)によるもの
    肝血が不足することによりおこる。
  5. 腎陰虚(じんいんきょ)によるもの
    腎陰が不足することにより起こる。
  6. 腎陽虚(じんようきょ)によるもの
    腎陽が不足することにより起こる。
  7. 心腎不交(しんじんふこう)によるもの
    心と腎が協調しないため起こる。
  8. 脾胃気虚(ひいききょ)によるもの
    脾胃の気の不足により起こる。
  9. 痰火(たんか)によるもの
    湿痰と火が結びついたものが停滞して起こる。
  10. 気滞血オ(きたいけつお)によるもの
    気と血が停滞して起こる。

耳鳴りなどの東洋医学的治療について

耳鳴りが良くなった症例ですが、東洋医学は基本的に耳鳴りだからこういう治療ということではなく、身体のアンバランスにより耳鳴りなど病気が起こると考えます。だから身体のアンバランスを治せば病気も治るという考えです。肩こりであっても同じ考え方です。

ですから、急になった病や身体のアンバランスが単純であればわりと早く治りますが、慢性病などで病気の期間が長かったりして身体のバランスが戻りづらいような場合は効果が出るまでに時間がかかることがあります。本当の意味で良くなりたいのであれば1~2回の治療で止めるのではなく最低10回を目安にまず来院していただきたいと思います。

△ページTopへ戻る